あなたのギャップにやられています

「私にだって、これから木崎さんと星をつかむことはできるでしょう?」

「できません」

「できます」

「ちょっと待った―! 仕事しましょ」


このままだと収拾がつかないと思った私は、なんとか間に割って入る。
お願いだから冷静に話してよ。

ひとりの女を取り合う微笑ましい光景だわなんて、笑ってはいられない。
変な汗がどんどん出てくるのを感じながら、テーブルの上に契約書を差し出す。


「はい、契約書です」


ちょっと不機嫌な顔をした雅斗が契約書を手にして読み出した時、堀川さんがプッと噴き出した。


「残念ですが、私の負けです。
有名な方ですし、もっと余裕しゃくしゃくだろうななんて思ってましたけど、意外と普通の男ですね。
ひとりの女性のことで感情剥き出しにして必死になって。
でもそういうのは嫌いじゃない。おっと、お客様に失礼ですね」


クスクス笑いながらコーヒーを口にした堀川さんは、思わず顔を上げた雅斗に再び口を開く。


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