あなたのギャップにやられています

「ご存知ですか?
彼女はこの画廊に転職すると、即決したんですよ。大きな会社をあっさり捨てて。
本当に絵が好きなんだと感心しました」

「それは知りませんでした」

「絵の魅力を彼女に教えたのは、木崎さんなんでしょうね。
彼女があなたのことを好きなのに頷けます」


そう。
絵の世界がこんなに素晴らしいと教えてくれたのは、まぎれもなく雅斗だ。


「初めて彼女がここに来たとき、私が買ったこの絵を見て目を輝かせていたんです。
もしもこの絵の画家が現れたら、彼女は持っていかれちゃうんだろうななんて直感で思ってました。
だからその通りになって、かなり悔しい」


堀川さんは雅斗から契約書を取りあげると、なにやら書き始めた。


「彼女のことは諦めます。その代わり、今回は他の契約にはないオプション付きで」

「オプション?」


そんなの聞いたことがない。

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