ブラッディ トゥ ナイト

「急いで着せるぞ」

僕が文月の服を脱がせると、火茂瀬が素早くコスプレ用の巫女装束を着させた。

そして真栄城が殺される時と同じ状況にする為に胸元をはだけさせ、袴の裾を裂いて、その切れ端で両手首をフェンスに固定した。

十字架に張り付けにされたイエスのようだ。

「……やっぱ萌えませんね」

「は?」

眉を寄せて火茂瀬の顔を見つめる。

「いや、男の娘ってあるし銀髪でも萌えるかなぁって思ったんスけどね……ダメでした」

正確に現場を再現するつもりは無かったようだ。

真顔の火茂瀬に、僕の眉間のシワは深くなる。

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