蕾は未だに咲かないⅠ


それを、垂れ目の彼が追いかける。すると去り際、2人の会話が聞こえてきた。


「何考えてんだよ、ユウ。」

「あ?」

「あの子、普通の子だろ。」

「だからこそだ。」

「…は?」

「怪我を証拠に口外されたりなんかしたら、普通じゃねぇ俺らはやられんだ。分かるだろ。」


当然な、その言葉。それに素直にズキンと響く心臓。
あたしのさっきの言葉を全く信用していないらしい事に傷ついたのか、何なのか。分からないけれど。


――どうやら、あたしは監禁というか監視というか、そんな事をされるらしい。


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