Be yourself!

乱闘騒ぎのあったライブから数日後。

朝から次にやるライブのセットリスト(ライブで演奏する曲を順番に書いた一覧のこと)の作成で『helix』の応接セットコーナーは騒然としていた。



「――たった25分の持ち時間に、ぬるい曲3曲もいれられるわけないだろ」

と、小次郎さんがため息をつけば、

「銀二はバラードで目当ての女の子にモテたいだけだしな」

と、ボソッと多聞がつぶやく。


ちなみになぜバラードを三曲も入れられないのか、というのは、対バンで溢れるライブハウスでいちげんさんのお客様相手にミドル店舗の曲を歌ったって食いつかれないよ、というバンド業界の常識らしい。

というわけで、たいていのバンドのセットリストは、ノリが良くてテンポのいい、そういう曲で占められるんだとか。
(有田さん情報)



「なにっ、お前ら俺がモテたいだけで音楽やってるって思ってんのかよ!」



銀二さんがソファーから立ち上げって、不満げにメンバーを見下ろす。



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