Be yourself!
急にしどろもどろになった銀二さんに、真生がやれやれと首を振り、
「あー、俺の目の前から消えてくれないかな」
さらりとひどいことを言い放ち、その場が爆笑の渦に包まれる。
銀二さんはそんな真生の毒にも慣れているのか、特に気にした様子もなく、「じゃあ1曲だけでも~」とおねだりしていた。
ぎゃいぎゃい言い合ってもやはり仲がいいのか、お互いわかりあっているのか、喧嘩にまでは発展しないようだ。
今日は御子柴さんはここにはいない。
(というか、小次郎さんいわく、本業の【赤と黒の蜘蛛】の仕事以外にもいろんなことをしているから、基本的に顔を出すのは週に一度出せばいいところだそうだ)
『helix』は御子柴さんが立ち上げたインディーズレーベルのための事務所で、しかも今のところこのSaw Atしかいないわけで。
決して不真面目というわけではないのだけれど、ここに池中がいたら間違いなく頬をひくひくさせていただろうな、と思いつつ、私はこれから回るライブハウスのブッキングマネージャー(ライブの主宰であり、そのライブにふさわしいバンドを集める人)にお願いします、お世話になりますの、お手紙をしたためていた。