たまごのような恋 殻を割ったそのとき
「大人しくしていたら放してもらえると思っていた?甘い」

 反論しようとしたが、腕に力が込められて抱きしめられた。
 これが好きな女の子にすることなの?どちらかというと、獲物を逃がさないようにしている感じがする。
 呼吸しにくい。必死に息を吸い込もうともがく。

「苦しそうにして」

 支樹はケラケラと笑っている。怒りたいけど怒れない。放してくれたのはそれから数分後のことだった。

「恋人になったら殺されるということがわかった」
「ひどい言い草だな」
「そっちこそ、そういう接し方はどうかと思うよ」
「琴音、今日どうして不安げな顔をしていた?怒りも入り混じっていたようにも見えた。俺に教えて」

 こんな質問をされて正直戸惑った。その答えを見つけられない。私だって知りたい。

「そんなこと言われても・・・・・・」

 あのとき何を考えていたのだろう。告白しておいてって思った?それもあっただろうけど、それだけじゃなかった。何だったのだろう。

「今日はこれくらいにしておいてあげようかな。ほら、行こう。それともキスしてほしい?」

 ピタリと硬直した。流されちゃ駄目!このまま何もしなかったら相手の思うツボだ。
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