Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
「そしたら、今回の事件とは関係がないように感じるけど…」
店主が首を捻る。
「だけど、その盗賊団の末裔が残ってるって話もあるんだ」
「それ本当?」
「僕もそんなのは信じていなかったさ。
さっき、この家紋のついた柄を見るまではね」
そう言って、ザックはもう一度、柄へと目線を向けた。
「それじゃ、その盗賊団の子孫が、今回の悪さを働いてるって言うの?」
店主が腑に落ちないといった表情で質問した。
ジルも同感だった。
話があまりにも飛躍しすぎている。
だが、可能性も否定はできない。
「それは、まだ分からないけど…」
ザックは口を噤んだ。
自分が知っている話をしただけで、事件の真相など分かる訳がない。
そんな感じだ。
しかし、その盗賊団は調べてみる価値があるかもしれない。
連中がこの物を持っていた以上、何か関係している。
そう思えてならない。
また、その盗賊団を調べるしか、今のところ道がないように思う。
犯人に繋がる糸口が見つけられればいいのだが。
ジルは静かにそう思った。