キズだらけのぼくらは
「……脚が悪いのは、そんなに特別なこと……? そんな人間にはオシャレする権利もない? そんなにも、“可哀想”なの……?」
頼りない弱々しい声が紡がれる。
本当はもっと強く言いかえしたいのに、言えない。
否定したいけれど、みんながそういう目で見ているのを私は、本当はわかっているんだ。
みんな見た目で人を判断することを知っている。
知っているから、私はそれを逆に利用してきたんだ……。
だから、そんな私が強くなんて言いかえせない。
それを一番嫌っているのに、そこをつかれれば私は弱い……。
「ほら、すぐに可哀想な声出すじゃない。結局アンタは、私よりはるか下にいる人間なの。だから、アンタなんかが出しゃばらなきゃいいんだってば。あの女もそうよ!」
秋穂が満足そうな笑顔を浮かべる。
余裕の出た秋穂は、巻いた髪の毛先を指で弄び出した。
なのに、私はそれを見ながら、きつく口を結ぶことしかできない。