あなたと私のカネアイ
「あんたとあんたの親の仲を取り持とうとしたのに八つ当たりされた挙句、お預けくらって、円さんの非がどこにあるわけ?」
「それは……そう、だけど」

 関係ないなんて言ってしまって、それでも円はお母さんとのことをうまく取り成してくれた。今日はお母さんからのメールが来てないから、きっとあの後すぐに連絡をしてくれたんだと思う。

「はぁ……円さんもよく我慢できるわね。まぁ、あれだけ拒否られてたのが胸を触れただけでも進歩かしら」

 佳織はぶつぶつと言いながら砂肝の串をとり、かじりつく。
 うう、それは私が食べたかったやつなのに……!

「大体、あんたは円さんに求めすぎ。自分は円さんに何をしてあげてるわけ?」
「……何も、してない」

 円はお金をくれた。
 使ったことはまだないけど、きっと文句を言わないっていう約束は守ってくれる。そもそも、円はそんなにお金へのこだわりがないみたいだし、私が条件なんて出さなくてもそうしただろう。
 私の嫌がることはしないって言ったのも、最初こそちょっと強引なこともされたけど、昨日だって私が「やだ」と言ったらピタリとやめてくれた。
 お母さんとのことも気にかけてくれて、テディベアが好きだと気づけばすぐにそれを日常生活に取り入れてくれて……円は私のことを知って、たくさん与えてくれる。
 でも、私は自分のことばっかり。

 触らないで、キスしないで、首をつっこまないで……

 自分勝手でわがままな子供みたいな態度ばっかりとってる。
 取られた砂肝の代わりに仕方なく取り分けた焼きそばをちびちびと食べながら、考えると自分がどれだけわがままなのかに気づかされた。
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