空と虹の境界線
「だけど・・・伝えず、死んじまうのは嫌だ。
でも、あいつにはきっと想い人がいる。
俺は――――あいつを、苦しめる事だけはしたくねぇ」
真っ直ぐな目で、俺を見る岡田さんに・・・
俺は、何も言えず黙っているだけだった。
いや、何か言えることなんて・・・ありゃしない。
「じゃあ、文を残しておくのはどうでしょう?
自分も、誰も苦しまないものなんて・・・何一つ無いでしょうしね」
フッと、脳裏をよぎる消えた昔の彼女の面影。
一度、ギュッと目を閉じると、もうその影は消えていた。