本当はね…。
階段を降りて奥に入って行くと…。
……ここで良いのかな?
リビングはここであっているのかと疑問を持ったが中から声が聞こえ、安心してドアを開けた。
「…あっ‼チサちゃんだ‼ごめんねぇ。僕の連絡ミスで…。」
部屋に入るなり、すぐにユキ先輩が私に気づいてそばにやって来た。
「あ、大丈夫ですよ。」
私は答えながら中の方に入って行く。
リビングというだけあって広かった。
落ち着いたら雰囲気があって、大人っぽさを感じた。普通に一つの家族が住めそうな規模。
部屋の真ん中にテーブルがあり、そこではカオル先輩がノートを開きながら早速勉強していたところだったらしい。
反対側にもノートや教科書やらが開かれていた。おそらくユキ先輩が座っていたのだろう。
カオル先輩は私に気づくとなんの違和感も無く、声をかけてくれた。
「こんにちは、千咲ちゃん。」
あいかわらずの爽やかスマイル。
カオル先輩とは…歓迎会の日以来、私がなんとなく避けていてまともに会話をしていなかったから…。少し嬉しかった。
私はカオル先輩に頭だけ下げた。
そして、そのテーブルの少し奥にはソファーとガラス製の低目のテーブルが…。
そこにはミサキ先輩と、佐々舞尋の二人。
「お、七瀬。暑い中ご苦労様。」
教科書から私へと視線を移したミサキ先輩にも軽く頭を下げておいた。
そんなことより…。私はどこで勉強すれば良いのかな?
カオル先輩達のテーブルもミサキ先輩達のテーブルもスペース的には空いてるんだけど…。どうしましょう。
リビングの入り口で立ちっぱなしの私に佐々舞尋が気づいた。
「別にどこでも良いぞ?」
私の考えていることがわかったのであろう。
「じゃぁ、僕とカオルのところにおいでよ。僕の隣空いてるよぉ。」
私の返事も待たずにユキ先輩に手を引かれてた。とりあえずユキ先輩達のテーブルで勉強させてもらうことに…。
………。