恋のリハビリをあなたと
「だから、食堂では見かけなかったんだ。いつも3人で行動してるのかと思ってたのに、大地さんだけ居なくて、不思議に感じてたから」


「……そんなに仲良しこよしじゃねーよ」


「それより……」


さっきまで2人の間には距離があったはずなのに、いつの間にか、その距離はゼロに鳴っていた。


抱きしめられていた。


「俺のこと気になってた?」


耳元で囁かれる声に、一気に緊張してしまい、動けなくなった。そして、唇が耳を掠めて、それがまた羞恥心を煽った。


「……自惚れないでよ。あの2人に絡まれて大変なんだから、馬鹿でも気付くわよ」


慌てて、腕を突っ張って、彼の胸を押して、距離をとった。このままでは、流されそう。


動揺している私を、笑っている彼に、ムカついた。


この人は私をイライラさせるのが、本当に上手い。イライラだけじゃなく、色んな感情を引き出していく。


こんなに感情が揺さぶられたのは、久しぶりだった。

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