優しい手①~戦国:石田三成~【短編集】
桃も毘沙門天の像をじっと見上げていた。
終始唇は震えて、何かと戦っているように見えた。
ーー桃がこちらに住むことを決めてくれて、正室になってくれたこと…
あの時から今日まで、決まっていたこと。
「桃…私が尾張まで君に会いに行ったことを覚えてるいるかい?」
「…え…?うん、もちろん…」
「毘沙門天が眠っていた私の枕元に立って、君のことを教えてくれたんだよ。悲願が叶う時が来たのだ、と」
来世は必ず夫婦になろう、と誓い合ったからこそ、あの時恐怖など一切感じなかった。
謙信は二人羽織のようにして桃の両手を取ると、火鉢に近づけて両手をさすってやりながら、続ける。
「まあ三成が君を見初めてしまっていたから、ちょっと立て込んでしまったんだけどね。桃…何を怖がっているんだい?私は…左近はここに居るじゃないか」
「うん…うん、わかってるよ。謙信さん…でもここはやっぱり怖くて…でも…独りで死んだんじゃないんだって思うと嬉しくて…なんだろ、うまく表現できないの」
左近は軍神上杉謙信となって生まれ変わり、時空を越えて自分と再会した。
それだけで考えられないほどの奇跡なのだ。
毘沙門天が紡いでくれた、奇跡なのだ。
「不安でいっぱいになっちゃってごめんね謙信さん。もう大丈夫…」
「私たちがこうしてゆったりとした時間を持てるのも最初で最後かもしれないんだ。ああ、三成たちが邪魔をしてくるという点においてね」
「ふふっ、今頃何してるんだろうね三成さん」
「さてどうだろうねえ。心労で胃でも痛めてるんじゃないかな」
およそこの男が軍神と飛ばれるなんて、こんな中性的な外見では全く想像できない。
女に化けれるほどの美貌を持って、しかも強いとなれば…鬼に金棒だ。
謙信の女装姿を思い出した桃はくすくす笑いながら謙信にもたれかかった毘沙門天の像を見上げた。
「また夢に出てくるといいな。私たちが…あのあとどうなっちゃったかを知らないと」
それを知りに来たのだから。
終始唇は震えて、何かと戦っているように見えた。
ーー桃がこちらに住むことを決めてくれて、正室になってくれたこと…
あの時から今日まで、決まっていたこと。
「桃…私が尾張まで君に会いに行ったことを覚えてるいるかい?」
「…え…?うん、もちろん…」
「毘沙門天が眠っていた私の枕元に立って、君のことを教えてくれたんだよ。悲願が叶う時が来たのだ、と」
来世は必ず夫婦になろう、と誓い合ったからこそ、あの時恐怖など一切感じなかった。
謙信は二人羽織のようにして桃の両手を取ると、火鉢に近づけて両手をさすってやりながら、続ける。
「まあ三成が君を見初めてしまっていたから、ちょっと立て込んでしまったんだけどね。桃…何を怖がっているんだい?私は…左近はここに居るじゃないか」
「うん…うん、わかってるよ。謙信さん…でもここはやっぱり怖くて…でも…独りで死んだんじゃないんだって思うと嬉しくて…なんだろ、うまく表現できないの」
左近は軍神上杉謙信となって生まれ変わり、時空を越えて自分と再会した。
それだけで考えられないほどの奇跡なのだ。
毘沙門天が紡いでくれた、奇跡なのだ。
「不安でいっぱいになっちゃってごめんね謙信さん。もう大丈夫…」
「私たちがこうしてゆったりとした時間を持てるのも最初で最後かもしれないんだ。ああ、三成たちが邪魔をしてくるという点においてね」
「ふふっ、今頃何してるんだろうね三成さん」
「さてどうだろうねえ。心労で胃でも痛めてるんじゃないかな」
およそこの男が軍神と飛ばれるなんて、こんな中性的な外見では全く想像できない。
女に化けれるほどの美貌を持って、しかも強いとなれば…鬼に金棒だ。
謙信の女装姿を思い出した桃はくすくす笑いながら謙信にもたれかかった毘沙門天の像を見上げた。
「また夢に出てくるといいな。私たちが…あのあとどうなっちゃったかを知らないと」
それを知りに来たのだから。

