狂想×Holic
私の呟きに、彼はそっと息を吐いて顔をしかめた。
「嘘じゃない」
「嘘。あの人に祝ってもらってたんでしょ?」
「だから違うって。大体あいつとはそんなんじゃ」
「じゃあ何なわけ?」
……ああ、もう止まらない。
嫌だ。嫌い。嫌い嫌い嫌い。
どうしてうまくいかないの。
どうしていつも私だけ。
どうして。
「……もういい」
今日はもう寝る。
そう告げて立ち上がり、彼に背を向ける。
最初から、頑張らなきゃよかったんだ。
手の込んだ料理なんか、作らなきゃよかった。
そしたらきっと、こんなに虚しくならなかった。
……腹減ったなら、カップ麺でも食べてろ浮気男。
心の中で悪態を吐きつつ、ふらふらと寝室に向かう。
そんな私の腕を、彼は強く握ってきた。
「……よくないだろ」
「もういいって。聞きたくない。放して」
「俺がよくないから、」
ぐい、と腕を引かれ、そのまま身体は彼の胸の中へ。
突き放そうとすれば、今度は背中から抱き竦められた。