カローナ姫の黒猫
「あ、当たり前だろう、他に誰がいるのだ!?仮にも私は一国の王だぞ?貴様、名を名乗れ。ことと次第によっては極刑は免れんからな!」
怒りでワナワナと唇が震えるシルヴィにカローナは真っ青になる。
あぁ…ルイ、あなたなんてことを…。
こんなに怒らせて…追放だけじゃすまないかもしれない。
最悪、死罪…。
脳裏に浮かんだ疑念を振り払うようにカローナはルイの前に歩み出る。
とにかく謝らなくては…!
「シルヴィ様、お待ち下さい」と彼女が口を挟もうとした時。
「ははっ、レイン今の言葉聞いたか?」
「はいはい、ちゃんと聞きましたよ、兄上」
やけに楽しそうなルイと呆れたような瞳を向けるレインの姿が飛び込んできた。