カローナ姫の黒猫
すると、私達の騒ぎに気づき出したミーハーなご婦人たちが。
「…まぁ、あちらのお二人なんてお美しいんでしょう」
「本当にねぇ…カローナ姫のご友人らしいわよ」
ヒソヒソと、ささやきあっている。
まぁ、確かにルイもレインもかなり綺麗だけど…今は、空気読んでよ。
しかも、その誉め言葉は、イライラしているシルヴィをさらに憤慨させる結果となってしまった。
「ワシの妃を謀ろうとは…誰かこの者たちを引っ捕らえよ!!」
とうとうシルヴィが、城の衛兵に向かってそう言い放つ。
それとほぼ同時に。
「シルヴィ殿。名乗るのが遅くなって申し訳ない…私の名前は、ルイ・アルベルト、以後お見知りおきを」
ルイが本名を名乗った。
「ア、アルベルト…」
その瞬間、あれだけ騒いでいたシルヴィが…カチンと固まる。