カローナ姫の黒猫
「…は?」
城中がシン…と静まり返る。
カローナ自身も、パクパクと口を開けて何か言おうとするけど、あまりの驚きから声さえ出なかった。
レインはやれやれと言った感じで、首を振っているし。
シルヴィに至っては、未だに目が点になっている始末。
大方、まだルイが言った内容を整理しきれてないんだろう。
けれど、そんな中ルイだけは、楽しそうに笑っていた。
良い性格してるわね…本当に。
諦め半分でそんなルイをカローナは横目で見つめる。
後は、彼に任せようと、カローナも笑顔を浮かべて彼の隣に佇んだ。
「…ル、ルイ殿、さ、さすがにご冗談がすぎますぞ?カローナ姫は、我が妻になる人なのですから」
ようやく、口を開いたシルヴィから出てきたのはそんな言葉。
「それは、カローナが承諾したことなのですか?シルヴィ殿?」
「もちろんでございます。カローナ姫のお父上からも承諾されたことですので!」
…それって、ただ父様から許可もらっただけじゃない。
私の意思なんか聞いたこともないくせに、ふざけないでよ。
自信満々のシルヴィに嫌悪感を募らせるカローナをよそに。
「ほぉ…それはおかしな話だ。実は、私もさきほどカローナ姫のお父上からカローナ姫を妻にしたいと言ったら、快諾してもらえたところなのですよ」
ルイが不思議そうに声を上げた。