ハートフル・アーツ
「…あれ?」


幸大が目を覚ます

「君は倒れた時と起きた時に同じ言葉を発するのだな。」


「なずな…」

「まったく人騒がせなのよ。」

「すみれ…だっけ?」


「あんた、頭も打ってるの?

すみれで合ってるわよ。」




「身体中が痛いんだけど…どうなってるんだ?」

幸大が言う

「命に別状はないわ。

右腕は肘の関節が外れたから元の位置にはめたのよ。

あとはヒビが入ってるだけ。



吐血は折れた肋骨が肺の上部を傷つけたからよ。

血は止まってるとこから考えて、傷口も大きくないみたいだから大丈夫よ。


あとは全身の筋肉が痙攣してるのと筋肉痛みたいなモノよ。」


「そうか。

いろいろありがとな。」


幸大が言う

「…お礼なんかいらないわよ。


あんたは仮にも武神流正当継承者なんだから、私たちには手助けする義務があるもの。」

すみれが言う

「さて、外はもう暗いしその身体では無理もできまい。

今日はここに泊まっていってくれ。」


なずなが言う


「ああ。

そうさせてもらうよ。」




「泊まるのは良いけど、御姉様の部屋や私の部屋の戸に指一本でも触れたら許さないわよ!!」


すみれがそう言って立ち去った
< 19 / 510 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop