ハートフル・アーツ
夜中



「…迷った。」


幸大は昼間の広場に立っていた


「広すぎんだろ…」


幸大が溜め息混じりに言う




「やぁ、こんばんは。」


闇から声が響く


「誰だ!?」

「警戒しないでくれ。」


春先の肌寒さを気にしないかのようなアロハシャツに短パン、金髪にピアスに金のネックレス


カラン、と下駄を鳴らしながらその男は現れた


「まぁ…警戒したところで君の体じゃ何もできないでしょ?」

男は口元に笑みを浮かべながら言う



「何者…なんですか?」


幸大が言う



「名乗るほどの者じゃないさ。


僕はちょっとだけ武神流に詳しいイケメンさ。」


「…。」

「怪訝な顔だね。


君は武神流を継ぐべきだ。」

男は口元に笑みを浮かべたまま語る


「さっきの技も…この山の入り口での戦いも見たよ。


君は武神流を体得している。

が…武神流を継ぐには至らない。」


「わけがわからないんだけど…」


「君に武神流の全てを教えてあげるよ。」


「は?」

「言っただろう?


僕はちょっとだけ武神流に詳しいんだ。」
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