ハートフル・アーツ
「面白いものを見せてあげよう。」

男は篝火の残りの薪を手に取る


「面白いもの?」


「ああ、武神流天義…の初段階。」

「天義の?」

幸大が言う


「ほら。」


ボウッ!!


薪が燃え出す


「な!?

超能力!?」

幸大が言う

「違うよ。


武神流は火も武器に…いや、武とすることができる。」


ヒュッ…

薪を中に投げる


「よっ!」


男は回し蹴りを薪に放つ


バシャッ…


水飛沫が放たれて薪の火が消えた



「マジかよ…

原理はどうなってんだ!?」


「水なんて空気の中にわずかにある。

湿度が高い場所で…霧の中で動けば服が湿ることもある。」


「だからってこんな水の量を…」



「鋭いね〜。

普通の奴は大してわかってないくせに納得するんだけどなぁ。」

「…。」

「僕にも原理はわからないさ。

ただ、できたんだよ。」


「…。」


「じゃ…本題に入ろうか。」


「本題?」


「君、僕の弟子にならないかい?」

「え?」

「なれば…君は最強になれるよ?

武神流もしっかり継げる。」

「俺は最強に興味はないし…」


「でも…この道場の門下生になった所で君は当主にすらなれないさ。

君は戦いの才能がないからね。」


「才能がないならあんたの弟子でも意味がないだろ。」

「違うねぇ。


戦いの才能がない者のために武はあるんだ。

戦えないモノが戦うために。


ただ…現代の武は戦う才能のある者の武器になってる。

武器と武は違うのに、ね。」
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