ハートフル・アーツ
33
「ん…。

ここは?」

幸大が目を覚ます


「あら、起きたの?」

「母さん…

ここは病院か…」

幸大が言う

「まったく、びっくりしたわよ?

4日前に急になずなちゃんから病院に運ばれたって連絡が来たんだから。

それから寝たまま起きないから死んだかと思ったわよ?」



「母親のセリフじゃねぇ…」

幸大が言う


「って、4日前に?

今は何月何日だよ‼」


幸大が言う

「5月3日の朝9時よ?」


「ゴールデンウィークじゃねぇか…」

幸大が起き上がろうとする

ズキンッ!

「ぐっ!

いってぇ…」

幸大が体の激痛で身動きが取れなくなる



「無理するんじゃないわよ…


あんた、あちこち怪我してるらしいわよ?



右腕は全治五ヶ月。

左手は全治一ヶ月。

肺は三ヶ月。

肋骨が八ヶ月。

鎖骨は一ヶ月。

両肩は三ヶ月。

背骨が二ヶ月。


脚が三週間。




お医者さんは熊に襲われてもこんなに酷くはならないって言ってたわよ?」


母親が言う



「…何も言わないの?」

幸大が言う


「ちゃんとお医者さんに言ったわよ?

そこをなんとか一週間で治してください。

最悪、治ってなくても病院から追い出してくださいって。



入院費も高いし、学校休んだらただでさえ良いとは言えない成績が落ちるでしょ?」


母親がやれやれと言いながら言う


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