ハートフル・アーツ
「そうじゃなくて…

何で怪我したのか…とか。」


「お前も…親に何でもかんでも話す歳じゃない…そういうことだろ?」

「父さん…」

父親が病室に入ってきた

「先生には意識が戻ったことは言ってきた。


お前がな…手術を受けてる間に父さんたちは病室に着いたんだ。



手術室の前で何人もの女の子が泣きそうな顔で手術が無事に終わることを祈ってた。



何も聞けなかったよ、それを見たらね。




姫川さんというご夫婦とその娘さんたち二人がいきなり父さんに向かって土下座をしてきた。


正直ね…本気の土下座があれほど居心地の悪いモノだとは思わなかったよ。」


父親が言う



「…ツバメたちが?」


「こうなったのは私たちのせいだ、って。

それで…何があったか話すと言うから断ったよ。」


「何で?」



「詳しくはわからないが…皆がお前のことを心から本気で思ってる。

ということは、だ…

お前が本気で何かをした。


なら、その結果でお前がボロボロに怪我をしても生きているなら…何かを聞くのは野暮な気がしてな。



お前が死んでたら何があったかくらいは聞きたかったが…


生きてて…お前が満足そうな顔をしているなら…わざわざ口出すことじゃないさ。」



「まったく、カッコつけちゃって…


さて、私たちは帰るわ。」

母親が言う



「何で…」


「そりゃ…息子の修羅場を見るのは気まずいからな…」


二人は病室の窓から病室の出入口を眺めながら呟いた





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