ハートフル・アーツ
「さーて、ドキドキのご褒美ダーツの時間だ。」

幸明が壁にルーレットを貼り付ける


「え?」


「君は陽君の修行をクリアしたからね。


当然、ご褒美ダーツがあるさ。」

幸明が言う


「マジか!」

幸大の目が輝く


「そ、そんなにはしゃぐことでもないだろうに…」


なずながモジモジしながら言う



「じゃあ…」


ヒュッ…

幸大の投げたダーツの矢が的に当たる瞬間


「喝!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


部屋に武神流現当主、朝霧壮一郎が入り一喝した

カッ…ポトンッ…


ダーツの矢は『一緒にお風呂』の項目に当たるが刺さらずに地面に落ちた


「のぁぁぁぁぁぁ!?」

幸大が絶望に満ちた顔をする


「おやおや…残念ながら今回は刺さらなかったからご褒美は無しだね。」

幸明が言う


「そんな…」


「お父様…なぜここに?」

なずなが少し不満そうに言う


「ん…?

部屋を間違えてしまったな。

我が家は広いから自室へと戻ろうと思ったが…



そしてたまたま自室へと戻ったと思ったら誰か居たもので一喝したが…

そうか、そうか…

部屋を間違えてしまったな。


さらばだ。」



「わざとだろ!!」


幸大が言う


「何のことやら…」


壮一郎はそそくさと立ち去ろうとした



バコンッ!!

廊下に出た所でフライパンが壮一郎の顔面に当たった



「まったく…壮一郎さん、子供じみたことを!


いくら娘が可愛いからって邪魔をしてはいけません!

わかりましたか!?」


椿が説教する


「はい…ごめんなさい。」

壮一郎がしょんぼりと言う



「なずな、幸大さん、うちの大きな子供が失礼致しました。

ごゆっくり。

早く孫の顔を見せてくださいね。」

椿が立ち去る

「許さんぞ!!

なずな!!

まだ早い!


貴様、なずなにいかがわしいことをしたら…」

ガシッ!

「壮一郎さん…行きますよ?」


椿が後ろ襟を掴んで壮一郎を引きずっていく



「あれか?

朝霧の一族は人の後ろ襟を引っ張って引きずるのがしきたりなのか?」

幸大が呟いた
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