ハートフル・アーツ
10
翌日

学校 昼休み


「老師!!」

「む?」


幸大の呼び掛けに老師が覗き穴から目を離す


「どうした、我が弟子よ。」


「今、ちょっとした修行をやってて…攻略のヒントが聞けないかなって。」


「ほぉ。

話してみなさい。」



幸大が幸明との修行について話した







「そう言うことか。」

「で…何かヒントとか…」

幸大が言う


「幸大よ…お主はなぜ水を捉えない?

力を始めとしたありとあらゆる流れを流すことがお主は可能であろうに。」


老師がそう言いながら捨ててある鉢の受け皿を拾い上げた



「いや…水とか風とかは捉えれないに決まってる。」

幸大が言う


「なぜ?」

「そりゃ…形も無いし、掴むことも出来ないし。

形がなけりゃ…流すことさえ無理だろ?」

幸大が言う


「そうかの?

ほいっ、と…」

老師は空気中から何かを掬う動作をすると受け皿へと手を持っていった


パシャッ…

「え?」

幸大は老師の手から受け皿へと注がれた水に驚く


「どうやったか気になるかの?」

老師が言う

「ああ…。」


「簡単じゃよ。

空気中から水を捉えただけのこと。」

「は?」

「水も風も火もそして、気も。


捉えれる。」

「え?」


「むしろ、そこにあるものをなぜ捉えられないと思うのじゃ?」
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