早急に恋に落ちて下さい!
榑縁を過ぎると、短い吹きさらしの廊下があって
その奥に離れがある。
離れは二間続きの和室で、手前の八畳がおばあちゃんの部屋─
奥の十畳が仏間になっている。
小さい頃はここでよく遊んだ…
苦手なかずちやんから逃げる為に、おばあちゃんの側が一番安全だったから。
密貴のお世話の後、かずちやんとバトンタッチするとまっしぐらにここに来て
おやつを食べるのが楽しみだったっけ──
あの頃からおばあちゃんは、とても孫に甘々で──
一才の密貴だっておばあちゃんの顔を見れば、覚え立ての“ばーばー”を繰り返して、すり寄って来ていた。
あの頃の密貴は、本当にかわいかった。
兄弟のいない私にとって密貴は、弟みたいな存在で
“ツグねぇちゃん”
そう言って寄ってくる密貴を“みっくん”と呼んで可愛がっていた───
でも、密貴が中学を寮のある進学校に入学してからは殆ど会えなくなった…
確か…最後に会ったのは、寮に入って初めてのお正月
帰省した時に会ったきりだ。
そう言えば……
何か規則を破って、丸坊主だったのをからかったら、すねられて…なだめるのに苦労した
あの時の密貴も、可愛いかった。