早急に恋に落ちて下さい!
私が座ると、彼はニコリと微笑んで──
「はじめまして。竹田要(たけだかなめ)です」
耳に心地よく響く、滑舌のはっきりした声でそう言った。
顔だけじゃないんだ…
「…はじめまして、花田鶫(かだつぐみ)です」
言いながら、仕事で培った板に付いた営業スマイルがとっさに出た。
女子校育ちの私。
30を過ぎた今でも、同年代の男性への免疫力はかなり低い。
とっさに動揺を隠し通せる程の営業スマイルがでるなんて
私も干物女へ足をズブッと───
「ツグミ…─いい名前だ」
いきなりだった。
そう呟くように彼が囁いた。
私の顔は途端に引きつり営業スマイルに変貌──上等文句にボボッと顔が赤くなってしまった。
絶対、彼のいい声のせいだ。
嘘偽りの無い、そう思える心からの微笑みのせいだ。