Sweet Heart
とりあえずきぃ兄ちゃんも居なくなったことだし、私は晩ご飯の準備にとりかかる。
「今日の晩ご飯はなぁ~に?」
「今日は葵君に家庭の料理を食べてもらうために肉じゃがに…って!蘭さん!?」
葵君が話し掛けてきたのかと思い、お玉を持ちながら振り向くと、
何と隣に葵君じゃなく葵君のお姉さん…蘭さんがいた。
いっ、いつの間に…!?
「なっ!何でてめぇがここに…って、ぬぉっ!」
「美しいお姉様に向かって"てめぇ"はないでしょうが!」
「あっ、葵君!」
葵君も蘭さんが家に入ってきたことに気づいておらず、怒りながら蘭さんに近づく…が、
蘭さんは葵君の乱暴な言葉に腹を立て、逆に葵君を捕まえて首を絞めた。
恐るべし、蘭さん…
「今日はどうしたんですか?」
苦しみながら黙って睨む葵君をよそに、私は蘭さんに来た理由を聞く。
「そうそう!駅前に新しいケーキ屋さんができたから、早速真智ちゃんと食べようと思ってケーキを買ってきたの!」
「えっ!ありがとうございます!」
「やっぱり真智ちゃんなら喜んでくれると思った~!可愛い!」
理由を聞かれた蘭さんは、買ってきたケーキの箱を私に差し出した。
新しいケーキ屋さんのケーキ、食べてみたかったんだ!嬉しい!
そんな単純なことに喜ぶ私を、葵君が呆れて見ていたことを知るよしもなかった…