Sweet Heart
「とにかく、お前達に何があったかは知らないが今は授業中だ。HRを続けろ。
喜一も、話があるなら学校が終わってからだ。」
「チッ。」
花井先生はそう言ってきぃ兄ちゃんを武蔵から離し、一緒に教室を出ようとした。
「真智!お前の家で待ってるから必ず帰って来いよ!」
━ピシャン!
《はぁ~…》
きぃ兄ちゃんが出て行った後、みんなが揃ってため息を吐く。
またしても嵐が過ぎ去った…。
きぃ兄ちゃんってば、突然現れるから怖いよ…。
「てか何で武蔵は真智の兄貴に嫌われてんだ?」
「それは…。」
気まずく重い空気を葵君の冷静な声が断ち切り
葵君の言葉にみんなが気になるといった視線を送ったので、武蔵は少し戸惑いながらも、ポツリポツリと語り始めた。
━回想
それはまだ幼い頃の話。
俺がいつものように流唯と亜沙美、そして大好きな真智と公園で遊んでいた時だ。
「てめぇ!またオレがいない間にまちと遊びやがったな~!」
「ひぃ~!」
真智の兄、喜一さんは小学生になっても真智から離れず、真智に近づく男を追い払っていた。
そのため俺はすごく嫌われていて、なぜか俺だけ"きいちさん"と呼ばなければならなかった。
もちろん俺にとって喜一さんは最大の天敵…
しかし、それでも俺はいつも認めてもらうために頑張っていた。
が、そんな俺と喜一さんに事件が起きたー…