Sweet Heart
この日もいつものように喜一さんに殴られ、蹴られ、体はボロボロ…。
容赦ない攻撃に、いつもの俺なら泣きべそをかきながら逃げていた…。
しかし!この日の俺は珍しく逃げずに、思いきって喜一さんへ立ち向かった。
「どうすればボクを認めてくれますか!?」
今思えば幼稚園のガキが偉そうに彼女の父親に言うような言葉をよく言えたものだ…。
そんなバカな俺に喜一さんは腕を組んでこう答えた。
「オレを倒すことができたら認めてやる!来いっ!」
「だぁー!!」
喜一さんが俺に来いと指図して構えたもので、俺は遠慮なく突っ込む…。
すると…
━バンッ!
「きぃにぃちゃん!」
ついに俺は喜一さんを倒すことができた。
3歳から親父に武術を叩き込まれていたので、小学生の喜一さんを背負い投げするくらいは簡単だ。
これでボクもきいちさんに認めてもらえた!
俺の心は嬉しさでいっぱいになり、完全に浮かれていた。
しかし━…
「てめぇ!クソむさしのくせにオレを投げ飛ばすなんて生意気だ!」
「へっ?」
「だからてめぇだけには、まちを譲らねぇ!」
喜一さんは俺を認めるどころか、逆に真智に近づくことを許さなかった。
そしてこの日をきっかけに、俺に対する喜一さんの仕打ちはひどくなってしまった━…