Sweet Heart
そこに…
「貴様!蘭様に乱暴な口を聞くなんて…この無礼者!」
「蘭様を一体誰と心得ているの!?身の程を知りなさいよ!」
私の取り巻きの人達が私を守るかのように前に立ち、男を威嚇した
いや…私を守ってくれるのは嬉しいけど、口調が時代劇の人みたい…
なんて関係のないことを思っていると
「はぁ?そんな女のことなんか知るかよ」
「なっ!この方は今や非常に有名な五十嵐グループのご令嬢、五十嵐蘭様だぞ!」
取り巻きの1人が私の家柄を出して、男に向かって言った
…ったく。私は人前で自分の家柄を言うのが嫌なのに…
でもさすがにあの男も何も言えなくなるわね
なんて思っていたが
「"いがぐり"だか"あざらし"だか知らねぇが、
そういう金持ちはこの女が偉いんじゃなくて親が偉いんだよ。
お前らいちいちそんな女にまとわりついて何が楽しいんだ?」
「なっ…!」
男は誰もが想像していなかった言葉を放った
周りは驚きのあまり、目を点にさせて固まっている
もちろん私も例外ではなくて周りと同じように驚いていた
なっ、何なの…私じゃなくて親が偉いだけなんて言われたの初めてよ…
私と同じような一流企業の子供が聞いたら激怒するだろう…
けど何でだろ…妙に胸の内がスッキリしてる…
「げっ!やべっ!真智達、帰ってきてる!
女っ!今回のことは許さねぇけど、今度から気をつけろよ!」
最後に男は私にそう言って、風のように素早く去ってしまった