Sweet Heart
それが蘭と喜一の出会いだった━…
蘭にとって喜一のような乱暴で上品さのかけらもない人物…ましてや柄の悪い不良との出会いは初めてで、
いつしか蘭は喜一のことが気になり、秘書である鳥羽や香山に喜一のことを調べさせていた
そして…
「とうとう見つけたわよ!榎本喜一!」
「んぁっ?何だ、てめぇ」
蘭はついに喜一の居場所を見つけ出していた…
ちょうど6時に買い物を終わらせて家へ帰ってくるのは調べ済み…
1時間前から張り込みをして正解だわ!
一般人の1人や2人…居場所をつきとめることくらい、私には容易いことよ!
「3日前に私にした仕打ち…忘れたとは言わせないわよ!」
「はぁ?何のことだかさっぱりわかんねぇ!結婚詐欺や変な坪の商売だったらいらねぇからな」
しかしながらこの男、榎本喜一は私にした仕打ちを覚えていないらしく、
まるで私を怪しい人かのような扱いで、シッシッと手で追い払うようにしてきた
「だっ、だから私が階段から落ちてあんたの晩ご飯をボロボロに…」
「あぁ!俺達の貴重な晩ご飯をボロボロにした迷惑女か!」
「って、そういうことは覚えているのね」
自分が相手にしたことは忘れてるくせに、自分が相手にされたことははっきりと覚えている
非常に都合の良いおつむだ…
私は榎本喜一らしいなぁ…なんて納得し、自分の中で頷いていた