Sweet Heart
 


「で!何でお前がこんなところに居るんだよ?…まさかまた俺達の晩ご飯を亡きものに…」


「そんなわけあるか!っていうか亡きものって何だよ!」



どうしたらそんなバカバカしい考えに至るのか逆に問いつめたい!


私は榎本喜一のアホさ加減に呆れながら、右手に持っていた買い物袋を差し出した



「今日はこれを渡しに来たのよ!」


「んっ?…これってこの前お前に潰された晩ご飯達と一緒じゃねぇか」



私が榎本喜一に差し出したものは私がボロボロにしてしまった榎本家の晩ご飯になるはずだった材料と同じもの


榎本喜一は驚いているのかアホ面を更にアホ面にさせていた



「あんたにはぶっ飛ばされた上に心配もされなかったけど、

元はといえば私の不注意で起きた事故だし、私が気をつけていればせっかくの材料も無駄になることはなかった…

だからこれはお詫びのしるしよ」



確かに榎本喜一には全く心配されなかったし、晩ご飯の方が大事だとも言われたけど


元はといえば私が油断してたのがいけなかったわけだし、ちゃんと謝ることもできなかったから



せめて私が無駄にした材料と同じ材料を榎本喜一に渡そうと思っていた



「おぉ!どこぞの偉そうな金持ちかとは思ってたけど、わざわざ同じものを買ってくるなんて…

お前もなかなかやるじゃねぇか!」


「あんたと違って私はできた人間なのよ」



意外にも榎本喜一が目を輝かせて喜んでくれて、私は思わず恥ずかしくなって顔を逸らした




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