Sweet Heart
 


「よしっ!これで全部並べ終わったし食べるぞ!いただきまーす!」


「いただきまーす!」
「いただきます」


「いっ、いただきます!」



私が榎本家に来てから、榎本喜一は妹の真智ちゃんと晩ご飯を作り始めた 


もちろん料理なんかしたことがない私は手伝うことすらできず、楽君と一緒に心ちゃんのお守りをするしかなかった


そしてあっという間に料理も出来上がって、図々しいながらも一緒に入らせてもらい、今に至る━…



「お口に合うかわかりませんが遠慮せずに食べてくださいね!」


「ありがとね。では遠慮なくいただきます」



優しい真智ちゃんに言われ、私は軽く頭を下げて目の前にある肉じゃがに箸をのばす



「━…んん!美味しい!すっごく美味しい!」



ジャガイモを口に含んだ瞬間、温かく、味もしっかりと染み込んでいてすごく美味しかった



今まで有名な料理人達が作ってきた料理ばかり食べてたけど、心から美味しいと思った料理は初めて…


何ていうか優しい気持ちになれるようなそんな味……



「そりゃ、この俺が味付けをした特製肉じゃがだ!うまいに決まってるだろ!」


「はっ?……えぇ!?」 



しかしあろうことか、この美味しい肉じゃがを作ったのは目の前で行儀悪くご飯を食べる榎本喜一だった


私は一瞬、意味がわからず首を傾げたがすぐに理解してしまい、驚きの声を上げる



いやいや、やめてくれ!
こんな美味しい肉じゃがを…あんな乱暴でバカな男が作ったなんて…



信じがたい真実だったが家族の誰もが否定しないところを見ると、嫌だけど信じるしかなかった




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