Sweet Heart
「蘭と喜一さんの問題だ。関係のない人間が入っても解決しねぇよ」
葵君は何も感情のこもっていない冷たい瞳で私を見て言った
そんな葵君の威圧感に怖じ気づきそうだったが、今回ばかりは私も譲れず、葵君に言い返す
「そうかもしれないけどこのままきぃ兄ちゃんも蘭さんも放って置けないよ!」
「真智はお人好しすぎだ。喜一さんや蘭のことを気にする前に、自分のことを考えろよ」
私が意を決して言い返しても、返ってきた言葉は予想していたものと同じだった
更に葵君の言葉は続き、私は黙って聞く
「真智は自分のことさえ考えてりゃ良いんだよ。
武蔵と一緒にベストカップルコンテストに出ることや俺との婚約を解消すること…
他人の心配なんてしてる場合じゃないだろ」
葵君の言葉で私の中の何かがはじけた
そして
━パンッ!
「葵君には私のことを言って欲しくない!」
気がつけば、私は葵君の頬を平手打ちしていた
人を叩いたことがない私の手のひらはジンジンと痛み
それと同時に涙が頬を伝った
「どうして大切な人達の心配をしちゃいけないの!?
他人のことを思いやらないで、自分のことばかりなんて考えてられないよ!」
涙でうまく声がない…だけど私の気持ちは止まらない
私は全てを吐き出すように葵君へ自分の思いをぶつけた