Sweet Heart
「努のおかげで何とか就職はできたが、
ただ1つ条件が出たんだ。」
「条件?」
私は訳がわからず頭を傾げた。
五十嵐さんの友達だけって理由で就職できたことはずるいと思うけど
条件って何だろ?
「その条件が、葵と真智ちゃんのことだよ!」
「はぁ!?俺達!?」
その答えを五十嵐さんが私とヒーローマン(偽)を交互に見て言った。
条件=私とヒーローマン(偽)?
ますます意味がわからなくなってきた~!
「お互い結婚して、子供ができたら許嫁にする!ただし、僕が息子で孝史(タカシ)が娘の場合ね!」
そう言って五十嵐さんが"条件"の説明をしてくれた。
ちなみに孝史とはお父さんの名前ね。
「将来、僕が年をとったらいずれ息子に跡を継がせなきゃいけないだろ?
それで必ず結婚させるには許嫁が1番かな~って思ったんだよ!」
「てっ、てめぇは…」
もはやヒーローマン(偽)は怒りを通り越して、呆れたようにため息を吐く。
何それ…。
ってことは私が産まれる前から結婚相手が決まっていたんだ…。
「…そんなのダメだよ。」
「「えっ?」」
私が小さく呟くと、お父さんと五十嵐さんはキョトンとした顔で私を見た。