Sweet Heart
「もう二度と目の前に現れんな。」
私が蘭さんに抱きしめられてる時、葵君は小声で呟いた。
「お姉様に向かって何て言葉なのかしらね~?」
「いっ…痛ぇ!」
「アハハ…。」
しかし、蘭さんにばっちり聞こえていて、葵君はげんこつを喰らっていた。
何と言うか…葵君も懲りないよね。
蘭さんが帰った後、ようやく私と葵君は、2人きりになってしまった。
うわぁ…。どうしよ…!
2人きりになるなんて初めてだから緊張してきた!
「…葵君。」
「んっ?」
紅茶を飲んだ時に使ったカップなどを洗い終え、私は改まって葵君の前に座る。
葵君は届いた荷物を取り出しながら返事をした。
「あのさ、聞きたいことがあるんだけど…。」
「聞きたいこと?」
私は葵君が言いかけた言葉の続きが気になり、思いきって聞いてみようと試みた。
荷物を取り出していた手を止め、葵君が私の方に体を向ける。
よく考えてみたら、
"嫌なことって私のこと?"
なんて聞いても大丈夫なのかな…。
どうしよ…。余計聞きづらくなっちゃった。