Sweet Heart
「どうした?」
黙り込んでしまった私を見て、葵君は私の顔を覗き込む。
私はいきなり葵君の顔が近くになったので驚いた。
吸い込まれそうな茶色の瞳に私の顔が映ってる…。
全てが整いすぎて直視できないよ!
「やっ、やっぱり何でもない!」
恥ずかしさに堪えきれなくなった私は、思いきり顔を逸らしてしまい、結局言うことをやめた。
「…そう。」
すると葵君は少し間を空けて小さく呟き、私の顔を見ずに、荷物を出す作業を再開した。
…葵君、怒ってる?
私は葵君の表情が冷たかったことに気づいたが、声を掛けられずにいた。
気まずい沈黙が続く…。
何度か葵君の様子を見たが、さっきから何一つ表情を変わらない。
あの時、躊躇わずに言えば良かった…。
そしたら葵君に呆れられなかったかもしれない…。
…今度はちゃんと言おう!
「葵君!あのね…」
━グ~!
「へっ?」
私が思いきって言い出そうとした時、タイミング悪くお腹の音が大きく鳴り響いてしまった。