Sweet Heart
葵君…食べてる。
きっと普段は、有名なコックさんが作った高級料理を食べてるんだろうな…。
それなのに、ごく普通のカレーなんか絶対口に合わないだろうな…。
私は葵君の反応が気になって、気づかれないように葵君を見る。
しかし葵君は相変わらず無表情…。
「ま、まずいよね!やっぱり何か出前…「おいしいよ。」
私は慌てて、出前を取ろうとしたが、
葵君は予想外にも「おいしい」と言ってくれた。
「ほ…本当?」
「あぁ。何か懐かしい味がする。」
そう言って、葵君はどんどんと口にカレーを運ぶ。
「実はここちゃんに合わせていつも甘口にしてたから、間違えて甘口にしちゃったんだ…。
でも昔、お母さんも私が幼い時に甘口にしてくれたから、甘口はお母さんの味なの…。」
昔…お母さんも辛いものが苦手な私のために甘口にしてくれた…。
だから今でもカレーはずっと甘口。
「でもそのお母さんも今は天国に居るけどね!」
私がそう言うと葵君はそれ以上何も言わなかった。
葵君に気を使わせたかな?
今はそんなに気にしてないのに…。
リビングは気まずく重い空気が流れてしまった。