Sweet Heart
「でも、ちょっと待って。」
「へっ?」
すると葵君は少し怒気の入った声で私の言葉を遮って立ち上がり、
私の横を通り過ぎて、サボテンが植えられている植木鉢の前に立った。
「あのクソ親父め…。」
そう言って、葵君はテーブルの下や、テレビの裏側、お風呂場、部屋などいろんな所を歩き回る。
まるで何かを探しているように…。
私は葵君の行動に首を傾げながら見ていた。
「ごめん。電話するから待って。」
「うん。」
そして葵君はある所へ電話を掛けた。
凄く怒りながら…。
『もしも~し!どうした、葵~!』
「ふざけんな!このクソ親父!」
どうやら電話の相手はお父さんの五十嵐さんみたい。
なっ、何で怒ってるの!?
私は話の内容が聞こえないため、唖然としながら葵君と五十嵐さんの電話のやりとりを見ていた。
『何でそんなに怒ってるんだ?』
「当たり前だ!てめぇ…、10個も小型の隠しカメラを仕掛けやがったな!」
「隠しカメラ~!?」
何と葵君が探していたのは小型の隠しカメラだった。
じゃあ、今までの行動を全部監視されてたの!?