Sweet Heart
私は葵君が見つけた小型の隠しカメラを見た。
…ほっ、本物だ。
『隠しカメラって何のこと?パパ全然わかんにゃ~い!』
「しらばっくれんな!じゃあ、聞くけど今日の晩飯何食ったかわかるだろ!?」
『えっ?カレーだろ?』
「やっぱり見てたんじゃねぇか!」
『しまった~!』
結局、五十嵐さんは隠しカメラを通して、私と葵君の行動を見ていたみたい。
葵君は五十嵐さんを怒ると、すぐに隠しカメラを回収させた。
「悪ぃな。あのクソ親父がバカで…。」
「いや…。私のお父さんもあんな感じだから平気だよ。」
私と葵君はろくでもない父親を持ったことにため息を吐いた。
「それで話の続きだけど…。」
「うっ、うん…。」
ようやく話が本題に戻り、私は緊張しながら葵君を見る。
葵君に何言われるんだろう。
ちょっと怖いな…。
そして葵君はゆったりと口を開いた。
「…あんたが他に好きな人がいるから、本当に良いのかなって思った。」
えっ…?
私?
今度は葵君が私に予想外のことを言ったので私が目を丸くした。