Sweet Heart
「神宮寺と五十嵐君が対決するみたいよ!」
いつのまにか周りにはマット運動をしていた女子も集まり、葵君と武蔵に注目していた。
「武蔵はこういう武術関係は全部得意だからさすがの葵君も負けちゃうだろうね~!」
「怪我しなかったら良いんだけど…。」
亜沙美の言うとおり…武蔵は空手をはじめ、柔道や少林寺拳法などが得意だったりする
いくら喧嘩の強い葵君でも武蔵にはかなわ…
━バンッ!
「一本!勝者、五十嵐!」
「えぇっ!?」
すると突然体育館中に大きな音が響き渡り
葵君と武蔵の対決を見ていた者は驚きのあまり言葉を失ってしまった。
…一瞬、何が起きたんだろう。
私が見た光景は信じられないもので、葵君が自分より背丈が高い武蔵を、目にもとまらぬ速さで背負い投げをして投げ飛ばしたのだ。
葵君…かっ…格好良い…
「お~い!真智さ~ん」
「…へっ!なっ、何!?」
「葵君に見とれすぎ。」
亜沙美の声で我に戻ると、どうやら自分が葵君に見とれていたことがわかった。
うわぁ!私、一体どんな顔をしてたんだろう!?
「そっ、そんなんじゃないよ!葵君がヒーローマンに似ていたからここちゃんに見せたいな~って思ってたの!」
「…へぇ~!」
私は何とか誤魔化そうと必死に言い訳をするが、鋭い亜沙美には意味がないらしく信じてもらえず、笑われてしまった。