Sweet Heart
「武蔵の奴、一体何を考えてんだか…。」
「本当だね。」
体育が終わった後の休憩時間、亜沙美と流唯は武蔵の行動について話していた。
そんな中私は黙ったまま俯き、葵君も同じく黙ったまま窓の外を眺める。
「…ねぇ、そういえば武蔵はどこ行ったの?」
「えっ?」
私がずっと気になっていたことを聞くと、流唯はハッとした顔で周りを見渡した。
「おかしいな。体育が終わって、制服に着替えてる時は教室に居たんだけど…。」
「武蔵が何も言わないまま消えるなんて珍しい!」
女子は更衣室で着替え、男子は教室で着替えることが決まっていて
私は教室に戻ってきてから一度も武蔵を見ていない。
最初はトイレに行ってるものだと思ってたんだけど、そのわりには帰ってくるのが遅い…。
それに武蔵は何かあったら必ず流唯に言うはずだし、ましてや授業をサボるような人ではないから教室に帰って来ていないのはおかしい…。
━ガタッ!
「私、武蔵を探してくる!」
「えっ、ちょっと…真智!」
武蔵が心配で堪らなくなった私は、亜沙美の言葉も無視して教室を出て行った。