Sweet Heart
「あぁ~!行っちゃった!」
「本当、真智は相変わらず心配性だね。」
真智が教室から出て行った後、亜沙美と流唯はやれやれと言わんばかりの表情をする。
ったく。あの女は…。
━ガラッ
「授業始めますよ~!ってあら、どうしたの?転校生の五十嵐君。」
「ちょっと気分が悪いんで保健室に行って来ます。」
「わかりました!ではゆっくり休んでいなさい。」
いつの間にかチャイムが鳴っていたらしく、先生が教室に入ってきたので
俺は適当に理由をつけて授業を受けずに教室から出て行った。
本当…こういうことするの、今までの俺だったらあり得ねぇし。
そんなことを思いながら、俺はある場所へ向かう…。
「葵君まで出て行ったけど、まさか武蔵と真智を追いかけに行ったんじゃ…」
「それ、非常にまずいね。」
「だぁー!俺は何てことをしたんだー!」
雲ひとつない澄みきった青空に向かって吠える俺…。
俺は真智と五十嵐に合わす顔がなく、屋上へ逃げてきた。
…俺としたことが何であんな卑怯なことをしたんだろう。
いくら五十嵐が気に食わないからと言って、いきなり遅いかかるなんて…。
"これで…満足したか?"
先ほどから離れない五十嵐のこの言葉に俺は更に沈んでいた…その時、
━スタスタ…
誰かの足音が聞こえた。