最後の血肉晩餐
けたたましいメロディ――目覚ましの音を聞いて、はっとした。

「あのまま寝てしまったのか……」


急いで朝風呂に入り、出勤の準備をして、会社に向かった。バイクで違反ぎりぎりのすり抜けを繰り返し、なんとか遅刻せずにすんだようだ。


――はぁはぁはぁ……猛ダッシュで走る。


「おっおはようございます!」


思いっきりドアを開く。ぎりぎりセーフ。


――拍子抜けした。机に向かって座っていたのは田中剛先輩一人だけだった。


「おう、北川おはよう! 社長と後藤は葬儀へ向かった。俺たちは電話番だな」


「そうなんですか! 助かった~! ふぅ……」


電話番の日は、はっきりいって暇な一日なので新聞を読んでいるか、ネットを見てることが多い。


ただ聖社長は神経質なところがあって、アクセス先をチェックしているので履歴は消しておくことが必須だ。


社長は一旦怒りだすと社員を虫けらのような目で見下し、ネチネチと止まらなくなる。そんな説教は二度とごめんだ。


俺が早く独立したい、もう一つの理由でもあった。
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