最後の血肉晩餐
 心が折れそうな俺は、歌を口ずさみながら運転した。


「涙のキス~もう一度~誰よりも愛してるうぅ~」


だいぶ間抜けなような気もしたけど重い空気よりましだ。


「あまりお腹空いてないなら、談合坂まで行っちゃおうか!」


一人で喋っている俺は、むなしく、黙々と運転していた。


「南ちゃん……話さないと今日の意味ないよ?」


悲しげに言ってみたけど、反応なし。どういうことなんだろう。温厚な俺でも、そろそろ苛立ちを覚え始めた。


談合坂に一旦ついたけど、食事もいらないというので、もうちょっと先に進み、景色の良い場所を探すことにした。


焼き鳥串を一本買い、食べながら運転し、話し合える良い景色はないかと見渡した。晴れ渡る夜空は、どこに停めても抜群の景色だろう。そう思うと探すのは止めた。
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