最後の血肉晩餐
 引っ繰り返った俺は、ゆっくりと立ち上がり、恐る恐る窓辺に近づき、カーテンの隙間から覗いた。


もういない……。


隙間が2cmくらいしかなかったので、こちらを見ている、どす黒い目玉しかわからなかった。


幽霊なのか? 人影なのか? わかりかねた。窓を勢いよくピシャリっと閉めた。


するとひらりと、白い紙が落ちてきた。


「ん……なんだ? これは?」


拾い上げ、折りたたんであった紙を広げると、A4サイズの紙一面に、好きです。好きです。好きです。と透き間なくワープロで打たれたものだった。


「……なんだこれは。たちの悪い悪戯だな。気味が悪い――」


びりびりっと細かく破いてゴミ箱に入れた。気を取り直して素麺をちゅるちゅるっと音を立て、また食べ始めたが、既に食欲はだいぶ失せていた。
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