最後の血肉晩餐
 検温、シーツの交換、患者さんの体を拭いてあげたり、食事を運んだり、薬を配り、カルテのチェックなど、今日も一通り仕事が終わろうとしていた。


私が誕生日と知っている同僚達は、定時に上がらせてあげようと、いろいろと気を使い、仕事も手伝ってくれた。


その優しさを無駄にしないように、今日はどこかに出かけたかった。


制服から私服に着替えた私は、外で携帯をまたチェックした。やっぱり返事はなかった。


自分から誕生日なんだと、わざわざ言うのも嫌だったので、四葉亭に行くことに決めた。


ぎゅうぎゅうに押し合う、満員電車を乗り継ぎ、疲れた体に気持ちもへこみ、やっとの思いで赤羽に着く。


相変わらず東口は人ごみで、ひっきりなしに左右に交差する人達の間をすり抜け、噴水のほうに歩いた。


噴水近くの道端で演奏しているストリートミュージシャンの音色が、私の寂しさを一層引き立てた。
< 350 / 672 >

この作品をシェア

pagetop