最後の血肉晩餐
「明夫さん、今日はごめんなさい。急に行けなくなってしまって。明後日会いましょう? じゃあまたね」


「あっ浩二さん。明日暇? 凄く会いたくなってしまって……いつもの外回りの時間帯にどう? うん、そこで待ち合わせね。じゃあ、いつもの所で」


「さとしぃ~。こんな時間にごめんねぇ? 明日の夜、ご飯食べに行こうよぉ~! さとしのおごりでぇ~! うん、はい、うん、また明日ね」


ヒソヒソ話は複数の男たちへの電話だった。営業職と言っていたが、男とアポを取って遊びに行くことなのか?


電話をかけている時の彼女は、先ほどの小動物の可愛らしさなんて一欠けらも見えない。激しく肉を食らった獣のような、俺を同じ雰囲気と漂わせていた。


赤い皮の手帳を眺めながら、ちなみはあっちこっちに電話をかけていた。


俺はその手帳に興味を持った。
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