最後の血肉晩餐
「あら? ごめんなさい……今までのお返し。そう思って」


赤く滲んだその傷口は、同じ箇所を何度も刺されたので、意外と深く、重い鎖がチャリっと動いただけでもズキッっと痛みが走った。


もう赤ではなく、黒の領域だった。傷口を見ていると軽く眩暈がする。


「お前には亮さんがいたじゃないか……」


「亮? あの時は身代わりの賢二がいなくて寂しかったのもあったわ。それに勿論、貴方も相手してくれなかった……寂しさで飛びついた私が馬鹿だった。新たな幸せが待っていると思っていたけど、貴方への愛しさが蘇るだけだった」


「――随分身勝手だな?」


「責められても仕方ないわ――寂しさゆえ、全部が全部、流れに身を任せてしまった。

まさか性奴隷のように扱われるとは思わなかったけどね! 滑稽よね! 私! あははははははっ!!!!」


笑い声がコンクリートの壁で反響する。耳をふさげない不自由な腕が口惜しい
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